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津田堅之介さんエッセー「ホタル保護運動の問題点」 06.11.05

津田堅之介さんエッセー「ホタル保護運動の問題点」 06.11.05

ホタル保護運動の問題点
ホタルの成虫の光は、ボクのお嫁さんになってくださいという、オスホタルの愛のささやきです。その光は、ボク等の心に安らぎを与えてくれます。

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そのためホタルは自然保護や、お客を呼んで町興しをしようという運動のシンボルに祭り上げられ、各地で幼虫の養殖や放流がさかんに行われています。中には、そこで採集した成虫に産卵させ、各家庭で育ててから放すという、遺伝子のかく乱を防ぎ、子供たちの自然を守ろうという意識をも育てようとしている組織もありますが、ほとんどが、よそから幼虫を持ってきての放流のようです。しかし安易な放流は、彼等の種の存続にとって非常に危険なのです。

つづきもクリックしてご覧下さい。


実はゲンジボタルは、外見上の違いはほとんど無くても、日本を東西に分ける大地溝帯(フォッサマグナ)の西端、糸魚川~姫川~諏訪湖西岸~釜無川~静岡付近をむすぶ「糸魚川~静岡構造線」という線で「東日本型」と「西日本型」に大別されています。遺伝子DNAの配列の一部が異なるほか、東日本型が約四秒間隔で発光するのに対し、西日本型は約二秒間隔など行動パターンにも違いがあるのです。二つの型が交配するかどうかは確認されていませんが、光り方が違い自然状態での混在も確認されていないことから、おそらくこの二つの型は、お互いを同じ種類とは認識していないのではないかと思われます。

ところが最近、関東地方のゲンジボタルの里で異変が起きています。本来は生息していないはずの「西日本型」が、確認され始めているのです。ホタルが自然繁殖している横浜市泉区和泉町の天王森泉公園では、昨年初めて西日本型とみられるホタル約60匹が、周辺住民によって発見されたそうです。ホタル保護の一環で、「西日本型」の幼虫と知らずに放流したことなどが原因とみられ、実際に以前、関西地方の養殖業者から大量に仕入れた幼虫を、確認せずに放流していた時期があるそうなのです。

日本のホタル研究の第一人者、横須賀市立博物館の大場信義さん(ボクのアシスタント時代に、一度栗研に来られたことがあります)を始めとする方々は「現在のところ、生態系への影響は確認されていないが、今後、在来の東日本型を駆逐してしまう可能性があり、早急に本来の生態系を守るための対策を講じるべきだ」と警鐘を鳴らしています。

そして置き去りにされているのが、ホタルの住みやすい環境を取り戻す活動です。ホタルは清流のシンボルですが、実は幼虫は人も住んでいないような深山の本当の清流には住めません。もちろん魚が死んで浮いているようなドブ川は論外ですが、適度に栄養分が溶け込み餌となるカワニナの生息に適した、言い方を変えると適度に汚れた水質が必要なのです。

そして彼等にとって最も重要なのは、孵化したときに川面へ直接落下することが出来るように、水辺に張り出したコケの生えた岩や大木の産卵場なのです。ボクも栗研に遊びに行った学生時代、産卵木を見せてもらったことがあるのですが、そこにはコケの間にびっしりと無数の卵が産み付けられており、ほんのりと光を放っていました。固い殻に包まれた卵たちは、息を吹きかけたり手のひらでそっと抑え刺激を与えると、僕たちは生きてるんだよーと主張するかのように明るさを増しました。なお栗林さんは、産卵木にたくさんのメスホタルが群がり、火の玉のようになっている光景を、大分でホタル取材中に目撃されています。彼等は、どこにでも卵を産めるわけではないのです。

そして同時に重要なのは、外灯の無い暗い環境です。前にもお話しましたが、オスホタルの光は「ボクのお嫁さんになってください」という、メスへ捧げるプロポーズの言葉です。彼等は、無意識のうちに光を発しているのではなく、短い一週間の命をただ恋を成就させるために、自分の意思で「愛してるよ~」と叫んでいるのです。ですから、彼らは極端に他の光を嫌います。ホタル生息地の外灯は、危険防止のための必要最小限にとどめ、ホタル祭りなどのイベントを開催する場合、会場や露店は川から離して設置してあげるべきだと思います。

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ボクは栗研時代、毎年大分県緒形町の中津牟礼川(ここは東京時代から栗林さんが、全国でも最も素晴らしいホタルの生息地と惚れ込んで、毎年通われていたゲンジボタルの楽園です)へキャンプ取材に通いましたが、24時間連続撮影したときの経験では、ホタルの光る時間には大体20時前後と24時そして3時頃にピークがあります。ホタルを、彼らが光らなくなる時間に見に来て、「今年は少ないなあ」とこぼしている常連さんとおぼしき方々がいましたが、ホタル達の乱舞を見るにはその時間帯に、そして彼等の大好きな曇った生暖かい、風の無い日に行かれることをおすすめします。そして、彼等の恋路を邪魔して恨まれないように、ライトは消してそっとのぞいてあげてくださいね。

光といえば、ある時栗林さんが長時間露光によるホタル撮影中に、コンパクトカメラでフラッシュをバチバチ光らせて、ホタルを写している(つもりの?)おじさんがいたそうです。これでは撮影が出来ませんし、ホタルたちにとっても迷惑千万です。栗林さんは、困ったなあと思いながら、何とかおじさんの気分を害さずにその行為を止めてもらおうと思い「そのフラッシュじゃ、光届きませんよ」とやんわりと教えてあげたそうです。するとそのおじさんは何といったと思いますか?「何を言ってるんですか!光は、一秒間に地球を七回り半もするんですよ」ですって?!

次回は、いよいよ大谷さんのホタル追跡調査についてお話しましょう。はたして上陸したホタルの幼虫の運命は!!

 津田堅之介生物生態写真研究所
 日本写真家協会(JPS)会員 日本哺乳類学会会員
  津 田 堅 之 介
 福岡県久留米市

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